建設キャリアアップシステム登録(一人親方編)

ご覧いただき、誠にありがとうございます。
千葉県柏市の行政書士 木村亮一と申します。CCUS認定アドバイザーの行政書士として、普段から建設キャリアアップシステム登録代行や運用サポートを行わせて頂いております。

今回は最近お問い合わせの多い一人親方の建設キャリアアップシステム登録にフォーカスして書かせて頂きました。ご参考にしていただければ幸いです。

事業者と技能者どちらの登録をすればいいのか

一人親方の場合、基本的には事業者と技能者の両方とも登録が必要となります。

補足すると、請負契約を締結し事業者として施工体制に登録される立場ならば、事業者登録もする必要があります。一方で特定の事業者に所属せず、専ら技能労働者として雇用される立場であれば、技能者登録のみでもよいとされています。

【参考URL】No375 一人親方の場合は、事業者登録と技能者登録、両方が必要となるのか(公式サイトFAQ)
https://secure.okbiz.okwave.jp/faq-ccus/faq/show/375?category_id=1&site_domain=default

登録する順序について

上記にて一人親方の場合、基本的には事業者と技能者を両方とも登録する必要があるということでしたが、その登録順序についても説明します。

事業者情報と技能者情報の紐付け(所属事業者の登録)がポイントとなります。
登録順序としては、次の2パターンがあります。

登録する順序(2パターン)

①事業者登録を完了させてから技能者登録を行う方法
技能者登録の際に、主たる所属事業者として自身の登録済み事業者IDで検索・設定することで紐づけます。(事業者IDが入力されていないときちんと紐づけされないので注意)

②同時進行または技能者登録を先に行う方法
各登録完了後に事業者情報と技能者情報を紐付けるための変更申請(下記URL参照)が必要となります。

【参考URL】No852 事業者と技能者を紐付けしたい(公式サイトFAQ)
https://secure.okbiz.okwave.jp/faq-ccus/faq/show/852?category_id=20&site_domain=default

なお、パターン②は変更申請の必要があり手続きが煩雑になるため、推奨されているのはパターン①となります。

費用について

一人親方が建設キャリアアップシステムを利用するためにかかる費用は以下の通りです。

費用の種類 金額(税込) 備考
事業者登録料 0円 5年更新
技能者登録料 簡略型 2,500円
  • 原則10年更新
  • 認定登録機関(窓口)申請の場合には、4,900円(詳細型)のみ選択可能
  • 労災保険特別加入を登録する場合には、詳細型を選択する必要あり
詳細型 4,900円
管理者ID利用料 2,400円/年 管理者IDは、事業者登録をすると必ず1ID付与されるものです。登録完了した翌月上旬頃に請求書が届きます。毎年かかります。

※技能者登録の簡略型と詳細型の違いについてはコチラの記事をご参照ください。

必要書類について

以下、必要書類について事業者登録と技能者登録で分けて紹介していきます。

なお、インターネット申請の場合には、書類はスキャナー等で読み取るかカメラ等で撮影してJPG形式データで保存してください。画像が不鮮明だったり見切れてしまったりしていると不備になる可能性が高いのでご注意ください。

事業者登録の必要書類

事業者登録の必要書類は、事業者確認書類労災保険特別加入証明書類です。
以下、それぞれ説明いたします。

①事業者確認書類

次のうち、いずれかの書類の写しが必要です。

書類名称 見本(クリックで拡大) 備考
所得税の確定申告書 所得税の確定申告書
  • 受付印があり受付日から1年以内のもの
  • 電子申告の場合にはメール詳細も必要
納税証明書 納税証明書(所得税) 証明日から1年以内のもの
個人事業の開業届 個人事業の開業届 受付印があり受付日から1年以内のもの
建設業許可通知書 建設業許可通知書 現在有効なもの
建設業許可証明書 建設業許可証明書 現在有効なもの

出典(画像):建設キャリアアップシステム証明書類見本一覧(一般財団法人建設業振興基金)

納税証明書の種類について

納税証明書の種類は複数ありますが、以下の基準を両方とも満たしていればOKです。
また、発行可能であれば直近年度の納税証明書でなくても有効です。

  1. 金額の税目に「事業」「所得」「消費」のいずれかの文言があること
  2. 証明書に「納税額」の記載、または「完納」「未納がない」旨の文言があること

【例】
・国税事務所で発行:「納税証明書(その1)」「税目:所得税 」
・都道府県税事務所で発行:「納税(課税)証明書」「税目:個人事業税」

②労災保険特別加入証明書(一人親方労災保険)

次のうち、いずれかの書類の写しが必要です。

※加入証等は、発行元の任意形式のため、見本は参考までとなります。書類名称も発行元によって異なると思います。ポイントは「特別加入」の記載と「発行者印」等があるかどうかとなります。また、有効期限の記載のある場合には期限内のものが必要です。

書類名称 見本(クリックで拡大) 備考
労災保険 特別加入証 労災保険特別加入証 要発行者印
労災保険 特別加入証明書 労災保険特別加入証明書1 要発行者印
労災保険 特別加入申請書 労災保険特別加入申請書 要受付印等

出典(画像):建設キャリアアップシステム証明書類見本一覧(一般財団法人建設業振興基金)

技能者登録の必要書類

技能者登録の必要書類は、顔写真本人確認書類各種保険加入証明書類資格証などです。
以下、それぞれ説明いたします。

①顔写真

登録完了後に発行されるキャリアアップカードの顔写真に使用されます。ちなみに、次回更新時(原則10年更新)まで顔写真の変更は出来ませんのでご注意ください。

インターネット申請の場合は、jpgファイルで保存したデータを申請画面で添付します。画像サイズは、294×378ピクセルで添付します。申請画面内でも微調整できるので、少しだけ大きめのサイズで準備しておいて添付後に微調整する方法が個人的におすすめです。

また、条件を満たせば白壁等を背にしてスマートフォンで撮影した写真データでも使用可能です。証明写真ボックス等で撮影した場合は、写真をスキャナ等でスキャンしてjpgファイルにしましょう。

なお、認定登録機関で窓口申請する場合には、パスポート用サイズ(タテ45 ×ヨコ35㎜)で指定されています。(指定の申請書に貼り付け)

顔写真

出典(画像):建設キャリアアップシステムインターネット申請ガイダンス(一般財団法人建設業振興基金)

②本人確認書類

原則として、本人の顔写真氏名現住所生年月日を確認できる公的書類が必要となり、建設キャリアアップシステム登録で有効と認められているのは以下の書類のみとなります。
日本国籍の方の場合外国籍の方の場合とで異なります。

  • 日本国籍の方の場合
  • 外国籍の方の場合
  • 日本国籍の方の場合には、本人確認書類として次のいずれかの写しが必要となります。
    書類名称 見本(クリックで拡大) 備考
    運転免許証 運転免許証
    • 住所・氏名等が変更されている場合には裏面も必要
    • 運転経歴証明書も可
    マイナンバーカード マイナンバーカード
    • 裏面は不要
    • 住民基本台帳カード(住基カード)も可
    パスポート+住民票 パスポート+住民票 住民票に「住民票コード」や「個人番号(マイナンバー)」の記載がある場合には要マスキング
  • 外国籍の方の場合には、本人確認書類として次のいずれかの写しが必要となります。
    (運転免許証やマイナンバーカードは本人確認書類となりません)

    書類名称 見本(クリックで拡大) 備考
    在留カード 在留カード
    • 住所等が変更されている場合には裏面も必要
    特別永住者証明書 特別永住者証明書
    • 住所等が変更されている場合には裏面も必要
    パスポート+住民票 パスポート+住民票 住民票に「住民票コード」や「個人番号(マイナンバー)」の記載がある場合には要マスキング

出典(画像):建設キャリアアップシステム証明書類見本一覧(一般財団法人建設業振興基金)

上記1・2・3いずれの書類も準備できない場合には、インターネット申請が利用できず、本人による認定登録機関(窓口)申請のみ可能(代行申請不可)となります。また、申請の際には次の本人確認書類が必要となります。

書類名称 見本(クリックで拡大) 備考
住民票+健康保険被保険者証 住民票+健康保険被保険者証
  • 健康保険被保険者証は要マスキング(記号・番号・保険者番号・QRコード等)
  • 住民票に「住民票コード」や「個人番号(マイナンバー)」の記載がある場合には要マスキング

出典(画像):建設キャリアアップシステム証明書類見本一覧(一般財団法人建設業振興基金)

③健康保険被保険者証

「記号」「番号」「保険者番号」「QRコード(ある場合)」はマスキングが必要です。

出典(画像):建設キャリアアップシステムインターネット申請ガイダンス(一般財団法人建設業振興基金)

④国民年金の加入証明書類

次のうちいずれかの書類の写しが必要です。
なお、国民年金保険料が未納状態の方でも登録は可能です。

書類名称 見本(クリックで拡大) 備考
年金手帳 年金手帳 基礎年金番号は要マスキング
ねんきん定期便 ねんきん定期便・領収済通知書 基礎年金番号は要マスキング
領収済通知書(納付書)
  • 基礎年金番号は要マスキング
  • 支払い済みのものでなくても可

出典(画像):建設キャリアアップシステム「技能者情報登録申請書」の手引、建設キャリアアップシステム証明書類見本一覧(一般財団法人建設業振興基金)

⑤労災保険特別加入証明書(一人親方労災保険)

事業者登録で使用した確認書類と同じものでOKです。

⑥各種資格証

免許証、免状、合格証、修了証、特別教育修了証、技能講習修了証、安全衛生教育修了証など

注意点

資格等の登録には、証明書類から資格名氏名交付年月日等が正確に確認できる必要があります。

たとえば、カードタイプの場合だと表面だけでなく裏面も必要になる場合があります。手帳・冊子タイプの場合も氏名等が記載されているページとは別のページや表紙が必要になる場合もあります。また、有効期限のあるものは期限内のもので添付して下さい。

技能講習修了証
出典(画像):技能講習修了証明書発行のご案内(厚生労働省)

また、証明書類の印字等が経年劣化等で読み取れないほど不鮮明になっている場合には、有効な証明書としては認められず、登録には再発行が必要になるケースもあります。

社会保険の加入状況の選択と添付書類について

登録申請の際に社会保険(健康保険・年金保険・雇用保険)の加入状況を選択することになりますが、一人親方の場合には全て「適用除外」とその除外理由を選択することになります。

事業者登録の場合

各保険とも「適用除外」として次の除外理由を選択します。添付書類はいずれも不要。

保険の種類 適用除外理由 添付書類
健康保険 5人未満個人事業所(002) 不要
年金保険 5人未満個人事業所(021) 不要
雇用保険 従業員なし(041) 不要

技能者登録の場合

各保険とも「適用除外」として次の除外理由を選択します。

保険の種類 適用除外理由 添付書類
健康保険 個人事業主と家族従事者(009) 健康保険被保険者証
※種類はそれぞれ国民健康保険、国民健康保険組合など選択し、保険者名称には市区町村名や国保組合名を入力
年金保険 個人事業主と家族従事者(028) 年金手帳 or ねんきん定期便 or 領収済通知書(納付書)
雇用保険 事業主、代表者・役員(045) 不要

その他のポイント

  • 資本金は0円で登録して添付書類も不要
  • 一人親方は事業者登録料が無料(技能者登録料2,500円 or 4,900円と管理者ID利用料2,400円/年はかかる)
  • 屋号を持っていない場合の商号・名称は氏名で登録
  • 1人でも雇用している従業員がいる場合には一人親方ではなく個人事業主として事業者登録
  • 個人事業主本人と家族従業者(家族従事者)のみで営んでいる場合、個人事業主ではなく一人親方としての事業者登録が可能です。そして、家族従業者も技能者登録して、一人親方の事業者IDと紐づけます。なお、家族従業者の技能者登録をする際の雇用保険の加入状況は、事業主と同じく適用除外(事業主、代表・役員(045))を選択します。

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